養育費Q&A集・養育費の連帯保証人

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養育費とは、子を養育する親が、子を監護、教育していくのに必要な費用のことです。
養育費は、子の親としての固有の義務(一身専属義務)として、子を監護・養育していない親であっても、支払う必要があります。
また親は子に対し、親の生活を保持するのと同程度の生活を子にも保持させる義務(生活保持義務)があります。
養育費の額は、父母双方の収入、子の人数や年齢、その他一切の事情を考慮して決定します。

裁判所や実務で利用されている養育費の算定方式があります。
これによると、例えば夫の給与年収が350万円、妻の給与年収が100万円の場合、子の年齢が14歳以下とすると、夫が子1人当たりに支払う養育費は月3万円と算出されます。ただし、夫が持病を持っていて毎月相当額の医療費の出費があるなどの場合は、減額されることもあります。

★養育費・婚姻費用算定表(クリックすると表示されます)

養育費の支払い義務者が再婚し、配偶者や養子、実子といった扶養家族が増えた場合、扶養すべき人数を考慮して、養育費を再計算することとなります。
一方、養育費をもらう側が再婚し、再婚相手が子と養子縁組をした場合、子の扶養義務は、第一次的には再婚相手となり、養育費の支払い義務者は第二順位となるため、原則的には養育費の支払い義務を免れます。ただし、養育費をもらう側が再婚しただけの場合には、再婚相手には子の扶養義務はありませんが、養育費の減額要素として考慮されることとなります。

養育費を決める際には、私立学校等へ入学することを考慮して決めておく必要があります。
ただし、事情変更があったものとして、父母で協議して養育費の額を増額することはできます。
家庭裁判所等で使われている養育費の算定表では、子が公立中学や公立高校へ入学した場合の学費等が考慮され、養育費の額が算定されています。

子が20歳になる月まで、というのが一般的ですが、大学卒業まで、18歳に達した後の3月まで、とする例もあります。

連帯保証人が同意すれば、一般論としては、養育費の支払いについて連帯保証人をつけることは可能です。
連帯保証人としては、養育費支払い義務者の親がなることが多いようです。
ただし、養育費の支払い義務は、子の親としての固有の義務(一身専属義務)であるため、養育費の支払い義務者が死亡した場合には、連帯保証人の義務も消滅します。

注意を要するのは、養育費の支払いについて連帯保証人をつける公正証書を作成する場合、公証役場や公証人によっては、連帯保証人をつけることを否定されることもあります。
そもそも、養育費とは、上記のとおり子の親としての固有の義務(一身専属義務)として支払うものであり、また親は子に対し、親の生活を保持するのと同程度の生活を子にも保持させる義務(生活保持義務)があるのであって、連帯保証にはなじまないものと言えます。

そのため、連帯保証とすることの問題点として、

(1)

養育費の支払い義務者の収入が大幅に減ったり、リストラ等で収入がなくなった場合には、生活保持義務の観点から、当然、養育費は減額されることとなりますが、この場合、連帯保証人に対し、減額前の額を請求できるのか、それとも減額された額のみしか請求できないのか。
もし、連帯保証人には減額された額のみしか請求できないとすると、養育費の額はいくらになるのか、といった問題が生じ、養育費の額をめぐって紛争が生じることが予想されます。

(2)

養育費の支払い義務者が、養育費の支払いを怠った場合には、養育費の支払い義務者の財産に対して強制執行をすることができます。
この場合、民事執行法第151条の2により、養育費の支払い義務者が将来取得することとなる給料に対してのみ、強制執行することができますが、連帯保証人の給料に対して、同様に強制執行をすることができるのかどうかは不確実です。
また、連帯保証人が給料をもらっていない場合には、養育費の強制執行はできません。
(ただし、連帯保証人が所有する不動産や預貯金などの財産について、民事執行法第151条の2の特例を用いることなく、通常の強制執行の方法により差し押さえることはできます)

といった点があげられます。
ただし、養育費の支払い義務者が、養育費を支払わずに逃げ回っている、といった場合には、連帯保証人をつけることにも、効果があるでしょう。

当事務所では、以上のような問題点があることを理解していただいた上で、養育費の支払いについて、連帯保証人をつける公正証書作成のご依頼をお受けいたします。
また当事務所では、養育費の支払いについて連帯保証人をつける、といった方法以外で、同様の効果が期待できる、問題の生じない他の内容の公正証書を作成いたします。

破産法第253条第1項第4号ハにより、養育費は免責されませんので、養育費は請求できます。
ただし、養育費の支払い義務者が自己破産しているということは、手元に現金がほんどないということですので、養育費の回収は難しくなるでしょう。養育費の減額や、一定期間支払いの猶予をするなど、対応が必要になるかもしれません。

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